山登りと健康
'15/2/14 (Sat)
昨今TVでは、さかんにウォーキングが健康に良いという情報を流しています。
確かにこれは間違っていません。
しかしながら、このイメージ付けは、ウォーキングしていれば運動は十分に足りているというような錯覚を起こしている人は少なくないだろうと僕は思います。
同じような事は、ストレッチにも言えます。
ストレッチを運動だと思っている人がいますが、ストレッチは運動ではなく準備運動なのです。
僕もそういうつもりで言うのではありませんが、この事をズバッと患者さん言うと、ガクッとくる患者さんがかなりいます。
ちなみに運動とは筋肉を縮めることです。
筋肉を伸ばすことではありません。
縮めることで生じるパワーを利用するのが運動なのです。
矛盾だと思われるかもしれませんが、筋肉を伸ばしつつパワーを出せると更に運動効果は高まります。
これを書物などでは『エキセントリック』という言葉を用いて説明しています。
さて、いつものように本題から脱線して始まる僕のブログですが、話を元に戻します。
おそらく僕のブログを読んでいる方の多くは若い方なのだろうと思います。
これは、実年齢だけでなく気持ちも含めてのことだと思っています。
ちなみに気持ちが若ければ肉体年齢もだいたい若いというものだと思います。
そして、そういう方にとっては、ウォーキングは運動にはならないと思っていた方が良いと思います。
もちろん、例外というものはあります。
退院後など身体が弱体化してしまった時には、一時的にはウォーキングは運動としての効果は十分にあります。
では平時においてはウォーキングに変わって、どういうことが運動なのかというと、特別な競技を除いては山登りやスロージョギング(6,7km/h)などが挙げられます。
ここでは、山登りについてお話ししたいと思います。
山登りにおいて最も重要なことは、山から下りることです。
いきなりふざけた事を言うなと思うかもしれませんが、登った以上は下りてこないといけないのが現実なのです。
たまにTVのニュースなどで、木に登ったクマが下りてこれなくなったというハプニングを見ることがありますが、これを山登り当てはめてみていただければ腑に落ちるのではないかと思います。
さて、山登りと言っても基本的には歩くだけのことです。
行為そのものはウォーキングと何ら変わらないのですが、自分の身体をより高い所へ自力で持ち上げるということが避けては通れないのです。
しかも、それが頂上に至るまで続くのです。
そして、自分の身体を自力、脚力で持ち上げるということが運動になっているのです。
この時に起こっている最大の特徴は、股関節の大きなしかも連続した曲げ伸ばしです。
また、この運動は胃腸の働きを活発にするので、山登りの翌日にはウンコがどっさり出て益々健康になります。
考えてみていただきたいのですが、日常生活の中で股関節を大きく曲げ伸ばすことがあるでしょうか。
せいぜい椅子から立ち上がるくらいなものでしょう。
階段を使う人もそれほど多くはないと思います。
そうなると、平地を歩くだけなので、それでは股関節はほとんど曲がっていないのです。
ロコモティブシンドロームという言葉を聞いたことはありますか。
これは、運動器(筋肉、骨、関節)の衰えや障害によって、介護が必要になるリスクが高まる状態のことです。
股関節を動かす筋肉の機能の低下が主な原因であると僕は考えています。
特に腸腰筋という股関節を曲げる筋肉の筋力低下です。
つまり、自力できちんと股関節の曲げ伸ばしが出来て、筋力低下していないのが健康の秘訣なのです。
ちなみに、サッカーの本田選手は腸腰筋を鍛え直してから更に活躍するようになりました。
素人にプロのマネはできませんし、そこまでする必要もありませんが、健康を維持するためにはある程度のトレーニングは必要ではないでしょうか。
その1つのトレーニング方法として山登りはいいものだと思います。
僕は山登りが好きで、東京近郊の山にたまに登りに行きますが、山に登っての一番の楽しみは頂上での昼飯です。
僕のことを知る人にこの事を話すと驚くようです。
どうやら僕は人からストイックな人間だと思われているようで、まさか花より団子的な話が出てくるとは思いもよらないようです。
昼飯は大体いつも711のおにぎりとみそ汁とコーヒーです。
みそ汁とコーヒーは、お湯を沸かして注ぐだけのインスタントのものですが、山で温かいものを食べれるというのは最高の贅沢だと思っています。
何と言っても身体を動かした後、空気のきれいな所で食べるのは最高に美味く、これ以上ない喜びを感じます。